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行政書士のプロローグ & モノローグ

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特捜のエース、前田恒彦検事逮捕について

 テレビの第一報で前田恒彦検事の姿が映し出され、テロップの「逮捕」という文字が目に飛び込んできた時、私はてっきり高橋洋一氏がまた逮捕されたのかと思った。高橋氏と言えば、元財務官僚で、小泉政権時代は竹中平蔵大臣の右腕として、現在は「みんなの党」の経済政策ブレーンとして活躍している。その高橋氏が、平成21年3月、練馬区の温泉施設で窃盗の容疑で突然書類送検される。告発本(『さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白』講談社)が話題になった後のことだけに、冤罪の疑念が拭えなかった。その後、高橋氏は自著の中で、「事実だけを書く」と前置きした上で、事件のいきさつについてふれている(『恐慌は日本の大チャンス』講談社)。これを読めば、誰もが国家権力の謀略と疑いたくなるに相違ない。前田氏も検察官僚であったが、ある日突然容疑者として世間に顔をさらすこととなる。二人はこの点でも共通するが、風貌が似ているというのは、いささか奇妙な符号ではなかろうか。

 それはさておき、今回の物的証拠(フロッピー)の改ざんが前代未聞の重大事件であるかの如き、マスコミ報道のカマトトぶりには腹が立つ。司法記者なら、これが氷山の一角であることくらいよく知っているはずだ。村木厚子氏が厚生労働省の局長であったからこそ、事件がこれだけ大きくなったのであり、もし一般の民間人であれば、そのまま闇に葬られてしまった可能性がきわめて高い。検察内部の事情はブラックボックスなどではけしてなく、さまざまな関係者によってすでに暴露されているのだ。
 例えば、石橋産業詐欺事件で有罪が確定して現在服役中の田中森一氏の『反転-闇社会の守護神と呼ばれて』には、検察の捜査手法が詳しく描かれている。彼もまた現役時代には特捜のエース検事と呼ばれていたが、逮捕後は、「モリカズのようにはなるな」が、検察関係者の合言葉になってしまった。同書によれば、検察が立てた筋書きに従って供述調書をでっちあげるなど当たり前のことであり、容疑者がクロという確信さえもてれば何ら問題はない、と開き直っている。そして、このように強引な捜査を躊躇なくできる者こそが、エース検事になれるのであろう。
 供述調書のでっちあげに慣れてしまえば、物証の改ざんだって簡単に行われると考えるのが普通である。木谷明氏(元東京高裁判事)の『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』にも、物証が改ざんされた疑いのある事例が紹介されている。この場合、木谷氏が裁判官としてこのことを検察側に指摘したが、その後全く問題になっておらず、マスコミもこれを報道しなかった。また、検察ではないが、守大介氏の筋弛緩剤事件(無期懲役確定)でも、科捜研が資料を大量消費してしまい、再検査しようにもできなくなっていることについて弁護側が追及したが、裁判所はこれを取り上げなかった。
 供述調書の作文も物証の改ざんも、でっちあげという点では同じであり、前者が常態化すれば、後者まで一足飛びに行き着くはずである。これらは、公判を有利に進めるためには手段を選ばずという検察全体に立ち込めている空気を物語っている。だから、これは、前田検事個人の問題ではなく、検察庁全体の体質の問題に他ならないのだ。
 ゆえに、最高検が東京地検特捜部に事情聴取するなどというのは、噴飯ものだ。最高検は、検察という組織全体の勝ち組であり、このような空気を最も濃密に凝縮させた人々の集まりと言っても過言ではない。もっとも検察上層部は、赤レンガ派と呼ばれる東大出身の法務官僚たちによって牛耳られているというので、自らは手を汚していないかもしれない。しかし、その分かえって悪質である。こういった検察トップは、共犯関係にあるどころか、共謀共同正犯の立場にあると見るべきではなかろうか。つまり、オウム真理教における麻原彰晃のようなポジションだ。
 今回の事件が、検察の体質を変えることなど、到底期待できない。人の噂も七十五日と言うが、彼らは、この騒動が鎮静化することをひたすら待っているに違いない。そして、ほとばりが冷めれば、また従来通りの捜査手法が復活し横行するのだ。そして、検察関係者の間では、次のような言葉が囁かれるだろう。
「ツネヒコのようにはなるな」


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